取材/内田勝治
撮影/白坂慎一郎
20年続く焼肉店
今も変わらない「伝えたい味」
今や焼肉激戦区となった月島で開店から20年、究極の素材を提供し続けている名店がある。「焼肉酒家 傳々」。レストランガイドの食べログ焼肉百名店にも選出された上質なお肉を味わおうと、地域の人のみならず、多くのスポーツ選手や有名芸能人が足を運ぶ。
店長の髙矢俊之さん(47)は言う。「僕は関西人なので、だから関西の味を伝えたいっていう純粋な気持ちがまず一番にあって、その〝伝〟の旧字で〝傳々〟なんですよ。20年、凄いあっという間でしたけど、色んな出会いがこの歳月を一瞬に思わせてくれているような、そんな感じです」
焼肉店を開店したのは偶然だった。関西で生まれ育った髙矢さんは、大学進学を機に上京。卒業後は医療機器メーカーに就職し、約3年務めた後に脱サラして2002年、当時住んでいた月島の地でカフェを開業した。
「まだ月島に何もなかった時代で、当時カフェブームというのもあり、喫茶店をやろうと(笑)」
売り上げも順調に伸び、翌年、向かいの空き物件でインド料理屋の開店を決意。食材などを仕入れるため、地元の神戸へ帰省し、知人が経営する焼肉店に行ったときだった。
「インド料理店をやるっていったら〝焼肉屋やったらええやん。仕入れから何から教えてやる〟って。そこから3カ月くらい、牧場からタレの作り方から全部教えてもらいました。未だに何で焼肉屋をやっているのか不思議に思うこともあります(笑)」
こうして2003年、「焼肉酒家 傳々」がオープン。髙矢さんもお店に立ち、お客さんにお肉の部位の説明から焼き方まで丁寧に実演する。日本一の食肉市場として名高い芝浦食肉市場などから仕入れた、A5ランク牛から3人前ほどしか取れないタン(2,200円/1人前)や、上レバー(2,200円/1人前)など、看板メニューは数あれど、髙矢さんのイチ押しはホルモン(1,320円/1人前)だ。プリプリの食感と、ほどよく乗った脂の旨味が食欲をそそる。
「ウチは新鮮なホルモンでオンリーワンを目指していきたいと思ってやっていて、他の関東の店とは違うと思っています。ポン酢で食べていただくこともあるし、味噌ダレも関西特有の、ちょっとこってりしたものなので、ぜひご賞味いただきたいなと思います」
店が繁盛するにつれ、以前はカフェと合わせて4店舗を出店していたが、現在は月島の1店舗のみに経営を集約している。髙矢さん自身、サラリーマン時代から住み続けている月島を愛してやまない。
「住み心地は最高ですよ。今、マンションが建って若い人たちがどんどん入ってきていますけど、もともと月島に住んでいた方とともに街を作っていけるような関係性ができていけたらいいし、人情あふれる下町文化も継承されていけば、よりいいかなと思っています」
月島の地で20年間、焼肉の味を伝えてきた「傳々」。これから先も、変わらない味や、街の移ろいを後生に伝えていく。
クーポン情報
こちらのリンク(https://lin.ee/MGaLHbT)からお得なクーポンをゲット!
店舗名:焼肉酒家 傳々
ジャンル:焼肉
問い合わせ:03-3536-0003
住所:〒104-0052
東京都中央区月島3-13-1サンライズ濱田ビル2F
営業時間:17:00-26:00(L.O 25:00)
定休日:なし